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「オワハラ(就活終われハラスメント)」を法的に考える

2015年10月6日 労働問題

今年に入って流行した「オワハラ」という言葉、みなさんご存知でしょうか。オワハラとは、「就活終われハラスメント」の略で,就職活動中の学生に内定を出した(又は出そうとする)企業が、その学生に対し、就職活動を終わるよう様々な圧力をかけるハラスメントです。
 
オワハラは従前から多かれ少なかれ行われていたことですが、これが過熱するようになった背景には、経団連が今年から新卒学生の選考活動を8月1日以降とする旨の指針を策定したことがあるといわれています。この指針により経団連に加盟しているような国内大企業の多くが8月から正式な選考活動を行うようになった一方で、このような方針を取らない中小企業や外資企業は、8月以前にも選考活動を行うため、8月以降に選考活動を行う大手企業への人材流出を恐れてこのようなことが行われているとの見方が多いようです。
 
さて、このオワハラを法的に考えるとどうなるでしょうか。
 
就職活動中の学生がある会社から内定をもらったとしても、就職活動を終えなければならない法的な義務は発生しません。企業が就職活動中の学生に対して「内定」を出した場合、(始期付・解約権留保付の)労働契約が成立するとされていますが、労働契約は、労働者の立場からはいつでも解約できる=退職の自由があるのが原則です(民法627条1項)。内定を得た学生は、引き続き就職活動を行った上で、より良い条件の会社から内定を得れば、もともともらっていた内定を辞退する=退職すれば良いだけなのです。
 
それにもかかわらず、企業が、内定を与えた学生(又は与えようとする学生)に対し就職活動を終えることを強要したり、就職活動を終えなければ内定を取り消す(又は与えない)などといった強迫的な言動を行った場合、日本国憲法が職業選択の自由(22条1項)や奴隷的拘束を受けないこと(18条)を保障していることに鑑みれば、態様次第では不法行為(民法709条)に該当し、学生が企業に対して損害賠償請求が可能な場合があると考えられます。特に、就職活動中の企業と学生という圧倒的な力関係の差を考慮すれば、不法行為が成立すると解すべき事案は、決して限定的ではないと考えるべきではないでしょうか。
 
優秀な人材を確保しなければならないという企業側の事情もあるでしょうが、本来、そのような人材は、職務内容自体の魅力や賃金をはじめとする労働条件の良し悪しで競って確保されるべきものであり、オワハラに訴え出て確保すべきものではないでしょう。このような力関係を背景としたハラスメントを排した、公正な新卒採用が行われならなければなりません。
 
アドバンスでは、労働問題にも積極的に取り組んでおり、数多くの実績を有しています。
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