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厚労省が「ホワイト企業」の認定制度をスタート

2016年1月19日 労働問題 

職業・職場の選択ーー。
 

それは、多くの方にとって人生における大きな決断の一つです。生活の糧としてはもちろん、やりがいや自己の成長のために職業や職場を選ぶ方も多いのではないでしょうか。しかし、実際に働いてみると想像とはかけ離れた職場環境に愕然とすることも少なくありません。
「残業代がきちんと支払われない」
「残業が多くて育児やプライベートの時間が持てない」
そんな悩みを持ち、退職を考えても、なかなか辞めさせてもらえず、終いにはそんな過酷な職場環境に精神的に疲れてしまう方、ひいては命を落とす方もいるのが現状です。
 

このような長時間労働による残業代の不払い、過重労働による健康被害などを防止するために、政府は2015年4月に、厚生労働省内に過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)を設置し、5月からは、いわゆる「ブラック企業」の社名公表に乗り出しました。実際に、居酒屋チェーン大手や靴チェーン大手が社名を公表され、大きく報道されるに至りました。しかし、その有効性は疑問視されています。なぜなら、この制度の対象は大企業のみとなっているからです。
 

一方で、政府は同年6月に「ホワイト企業」の認定・公表制度である「安全衛生優良企業公表制度」を施行しました。この制度に定められている審査項目をクリアし、審査を通過すると、「安全優良企業」として、企業は3年間「ホワイト企業」であることをPRすることができます。審査項目には、以下のようなものが挙げられています。
(必要項目)
・過去3年以内に労働基準関連法令違反で検挙されていないか
・従業員の健康・安全の確保を担当する部署が社内に設置されているか
(評価項目)
・過去3年間の定期健康診断において、有所見率(健康診断で懸念すべき箇所が発見された人の率)が前年に比べ改善されているか
・1カ月あたりの時間外・休日労働が80時間を超える従業員に対し、医師による面接指導が行われやすい取り組みを実施しているか
 

上記のような「必要項目」を全て満たし、「評価項目」の8割を充たすことが認定の条件となります。すなわち、3年以内に労働基準関連法案に抵触し、労働局等から是正勧告を受けた企業、すなわち、「ブラック企業」は、3年間はこの認定制度を利用することができません。3年の期間が経過し、労働環境の改善に努めた企業については、今後「ホワイト企業」認定を受けることができます。
2015年12月現在、「ホワイト企業」と認定されている企業は10社程です。
ここで皆さんはこの10社という数字を、どのように考えるでしょうか。
確かに、先程紹介した「ブラック企業」認定対象が大企業だけなのに対し、「ホワイト企業」はほとんどの企業がその審査対象となり得ることを考えると、10社というのは少ないようにも思えます。またその原因として、審査項目の厳しさを指摘する人もいるでしょう。しかし、「ブラック企業」が世間的に大きく取り上げられるようになったのが、ここ数年のことであることからもわかる通り、これまで社会的に労働環境問題が軽視されてきた結果に過ぎず、決してこの審査項目をクリアするのが困難であることが理由ではありません。認定を受けた企業の中には、従業員数1万5000人を超す大企業もあり、今後「安全優良企業」の認知度が上がっていくことを期待します。
今回は、昨年導入された「安全優良企業公表制度」についてご紹介しましたが、現在職場でトラブルを抱えている方にとっては、一刻も早い解決を望まれていることと思います。
 

弁護士法人アドバンスでは、過重労働や不当解雇、セクハラなどの労働問題にも積極的に取り組んでおり、数多くの実績を有しています。
初回相談は無料ですので、労働問題にお困りの際には、お気軽にお問合せください。


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