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新しい発明につながる特許、つながらない特許

2018年9月3日 知的財産権

お正月にはお馴染みの切餅ですが、この切餅について2009年から2015年まで6年もの間、裁判で争われたのをご存知ですか?

当時、業界第2位の越後製菓が第1位のサトウ食品に対して、越後製菓の発明した切餅がきれいに焼けるための技術を、サトウ食品が無断で用いて販売したとし、賠償金や商品の差し止め等を求めて裁判になったのです。この裁判は、越後製菓が勝訴し、裁判所はサトウ食品に対して、該当する切餅の製造や販売の禁止だけでなく、総額約16億円もの賠償金の支払いを命じました。

企業が発明をしていく中で、「特許権」は重要なポイントとなります。今回は特許権について、越後製菓vs.サトウ食品の裁判のゆくえを追いながら、弁護士がわかりやすく解説していきます。

 

そもそも特許権とは?

特許権とは、産業の発展に役立つ技術の保護を目的とした特許法にもとづく権利で、特許庁に出願・受理されると獲得することができます。この特許権を取得しなければ、どんなに画期的な発明をしても、その発明の苦労は身を結びません。なぜなら、発明が特許権として法的に保護されないため、無断利用されるなどして、ライセンス契約などの様々な経済的恩恵を逃してしまうことになるからです。

 

先に発明、販売していたとしても…

特許権は「先願主義」、つまり、最初に発明した人ではなく、最初に特許の出願をした人に特許権が付与されることになっています。そのため、サトウ食品が切餅の技術を先に開発し販売していても、越後製菓がその技術の特許権を取得していれば、サトウ食品の切餅の技術は法的に保護されないことになります。そこで、サトウ食品は、越後製菓の特許権は無効であると反論することになります。

 

発明の「新規性」と「進歩性」

特許権の審査基準の1つに、「新規性」があります。新規性とは、客観的にみた新しい創作技術のことで、新技術の開発を促進し、産業発展の促進を目的とした要件です。すでに利用されている、または、すでに公に知られているものに対して特許を認めると不当に発明が独占されてしまうため、社会の害になりかねないということを理由に定められています。

「新規性」と同じく重要な基準として「進歩性」があります。進歩性とは、発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、先行技術に基づいて容易に発明することができるかどうか、という基準です。この「新規性と進歩性の基準」をクリアした特許出願のみが、特許の権利を受けることができます。

サトウ食品は、越後製菓の技術は新規性と進歩性を満たしていないため、その特許権が無効であると反論しました。つまり、越後製菓が開発する以前にサトウ食品の商品は販売されていたので、新規性を満たしていないし、自社製品も同じような技術を用いている以上、越後製菓の技術も容易に開発できるため、進歩性も満たしていないと主張しました。裁判所は、商品の技術はもちろん広告や商品の納品状態を考慮し、越後製菓の特許権は有効であると判断しました。

 

どんな発明でも特許の専門家にまずは相談!

何かを発明したならば、まずは特許出願を検討すべきです。「すでに自社の発明は公知だろう」とか「このくらい誰でも容易に思いつくのではないか」と消極的になる必要は全くありません。

また、業界の常識が必ずしも特許庁の判断とイコールではありません。その業界では常識となっている技術を、ダメ元で特許出願した結果、特許権が付与され、その技術を独占できたというケースも存在します。

しかし、発明と並行して特許の手続きや仕組みを調べるというのは、非常に酷なことです。そこで、弁理士や弁護士などの特許出願や法律の専門家を頼るのが得策です。特許の専門家は、あらゆるデータベースを駆使して多角的な特許調査を行ったり、それまで取り扱った出願経験をもとに、新規性・進歩性の有無や業界の技術傾向を把握することができるため、合理的かつ的確に特許を申請したり、適切なアドバイスをお伝えすることができます。

 

特許権を獲得した後も…

特許権を獲得した後も、越後製菓のように特許権を侵害され、和解交渉や裁判に訴える可能性もありますし、逆にサトウ食品のように訴えられてしまうこともあります。報道によると、サトウ食品では、訴えられた当時に知的財産を担当する専門の部署が無く、また過去に訴訟経験がなかったことから法務部門も十分ではなかったとのことです。特許など知的財産権に限らず、幅広い企業法務への備えを充実化させておくことが、安定した発明に繋がるでしょう。

弁護士法人アドバンスでは、特許手続の代理や特許関連の訴訟はもちろん、ライセンス契約の交渉から書面の作成なども承っております。また、アドバンスグループの一つとして、弁理士法人アドバンスの設立を予定しているなど、さらなる知的財産部門への強化を図っております。

さらに、累計100社以上(2018年9月時点)の顧問実績を有する弊事務所では、特許の申請手続きや訴訟だけではなく、様々な企業法務もサポートが可能です。まずは、お気軽にご相談ください。


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