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医療事故をめぐる行政処分 ~医道審議会への適切な対応~

2018年11月21日 医師・歯科医師

医師・歯科医師の方は、患者の診察や治療などの医療業務に日頃から携わり、私たちの大切な健康を支えています。しかし、わずかな医療ミスであっても、患者の命にかかわるような重大な医療事故に繋がってしまう場合もあります。

今年、(公財)日本医療機能評価機構が発表した第54回報告書によると、2017年度の医療事故の報告件数は過去最高で、今年度はその報告件数をやや上回るという予想が報告されており、医療の進歩に伴う治療施術の高度化により、医療事故が発生する危険性も高まっています。

それに伴い、医療機関では医療事故の発生を未然に防ぐために、さまざまな予防策を取っていますが、医師・歯科医師の方も人間であることは変わりありません。起きてしまった不慮の医療事故に対して、どのような対応をするのかも求められてきます。

医療事故が起きた場合、3つの法的責任を負う可能性が出てきます。まずは、患者に対して慰謝料を支払うなどの民事責任。刑法に抵触した際に負う刑事責任。そして、医師免許の取消や業務停止などの行政処分を伴う行政上の責任です。今回のコラムでは、医療事故における行政上の責任である行政処分に焦点を当てて弁護士がわかりやすく解説します。

 

行政処分は誰によって判断されるのか?

行政処分の命令を下すのは、厚生労働大臣となっていますが、厚生労働大臣の独断で処分が決定されるわけではありません。厚労省に設置されている「医道審議会」という組織で審議が行われ、その結果に基づき、医師や歯科医師への処分が決定されます。医道審議会については、別コラム(1)別コラム(2)、また、特設ページに詳しくまとめておりますので、こちらをご覧ください。

 

気になる行政処分の判断基準

医道審議会は、公正公平な判断を行うため、行政処分に関する基本的な考え方や事案別の考え方をまとめた資料『医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について』を公表しています。
その中では、行政処分の内容を決定するには「司法における刑事処分の量刑や刑の執行が猶予されたか否かといった判決内容を参考にすることを基本とする」ものとしています。

つまり、先程挙げた医療事故における3つの法的責任のうち、刑事責任が問われたか否か、そしてその刑の内容を参考にするとしています。
 

医療事故ではどのような刑罰が問題となるのか?

代表的なものとして、まず、患者への治療中のミスといった人為的なミスに起因した医療事故については、「業務上過失致傷罪」が対象となります。次に、医師などによって保護されるべき胎児などの患者を放置して、死亡させてしまったような場合は、「保護責任者遺棄罪」が対象となります。

そして、医師などが守秘義務に反し、正当な理由がないのに患者の個人情報などを外部に漏らしてしまった場合「秘密漏示罪」が対象となります。これらの刑罰に処せられると、行政処分の対象になる可能性が高くなるのです。

実際には、医療の専門性、医療従事者に求められる注意義務の程度、病院の管理体制などの事情が総合的に考慮され、また、検察官にも高度な立証が求められますので、有罪に至るケースはあまり多くありません。

しかし、医療業界の常識が、そのまま法律上反映されているわけではありません。刑事責任を問われなかった医療過誤についても、明白な注意義務違反が認められる場合は処分の対象となり得ます。そのため、医療事故を届け出された際は、速やかな弁護士への相談を推奨します。

 

医療事故における行政処分の実情

直近5年で、実に377人の医師・歯科医師に対して何らかの行政処分が下されています。その大半は、飲酒運転や診察報酬の不正請求など医療事故とは無関係なものですが、患者を死亡させた場合では業務停止や医師免許の取消といった重い処分が下されていることから、万が一の医療事故が発生した場合は、医道審議会の審議対象にならぬよう、適切な対応を行うことが重要です。

 

医療事故後の最善の対応方法

医療に関する現行法や法理論は、日進月歩で進む医療技術に対して、十分に追い付いているとは言えません。さらに、専門性ゆえの医療業界の常識と法律上の常識との乖離は、万が一の医療事故が起こった場合に大きな問題となります。

起きてしまった医療事故を早期に、最善な方法で解決するためにも、医師および歯科医師の方と、医療に理解ある弁護士との連携は非常に重要です。

弁護士法人アドバンスでは、代表弁護士の五十部が医事法研究部会(第一東京弁護士会)に所属しており、医療法務の研鑽に日々努めております。所内には、「医道審議会専門弁護チーム」を設置し、さまざまな医療事故に対して、民事責任・刑事責任・行政処分を問わないトータルサポートが可能です。どうぞ遠慮なくご相談ください。


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