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入管法が改正~新たな在留資格「特定技能」とは~

2019年6月5日 外国人

皆さま、こんにちは。今回のコラムを担当する申請取次行政書士の松本亜希子です。今回は、この4月に改正された入管法についてお話しいたします。

メディアで大きく話題となった「入管法(正しくは「出入国管理及び難民認定法」)」の改正。ご存知の方も多いと思いますが、今回はその経緯や中身について少し触れていきたいと思います。

 

加速する日本の人手不足

入管法の改正に期待を寄せる声も数多くありましたが、その一方で制度を取り巻く細かなソフトインフラが追いつかないまま運用がスタートし、現場での混乱の声もちらほら聞こえてきました。

そもそも、なぜ入管法は改正されたのでしょうか。この理由は、我が国の深刻な人手不足にあります。下図のグラフの通り、1997年以降、日本では生産年齢人口(15歳から65歳までの人口)が減少の一途を辿っており、多くの業種・業態で深刻な人手不足に陥っています。

今後も減少がさらに加速していくと予測されており、それに伴い有効求人倍率は年々増加の一途にあります。人手不足を補うために在留外国人の数は年々増加し続けており、今では働き手として、なくてはならない存在となっています。

 

「我が国の人口及び人口構成の推移」総務省発行『情報通信白書(平成30年版)』より
 
しかし、移民政策を採用していない現在の日本では、「単純労働」での在留資格が認められていません。そのため、これまでは「資格外活動」として、留学生が留学中の費用を補うために週28時間以内のアルバイトをするなどの就労が認められていたり、「技能実習」として労働力の受け入れが行われてきました。

ただし、週28時間以内の就労とは残業時間を含めた制限です。技能実習の本来の目的は発展途上国への国際協力の推進であり、人手不足の解消が目的ではありません。そのため、技能実習法では、「技能実習は、労働力の需給の調整手段として行われてはならない(第3条第2項)」と規定されています。
 

法務省入国管理局『平成30年9月19日公表資料』より

 

在留資格「特定技能」の新設

そこで、特に十分な人材の確保が難しい業種業界を「特定産業分野」とし、以下の「14業種」に限り在留外国人の方が就労できるようになりました。今回の改正により、この特定の産業分野に就労する在留資格を、「特定技能」として新設することになりました。

この14業種の中でも、特に「介護分野」「外食分野」「建設分野」「農業分野」「宿泊分野」については、人手不足に対する特定技能で在留する外国人の方の労働力が大きく期待されています。

1 介護分野
2 ビルクリーニング分野
3 素形材産業分野
4 産業機械製造業分野
5 電気・電子情報関連産業分野
6 建設分野
7 造船・舶用工業分野
8 自動車整備分野
9 航空分野
10 宿泊分野
11 農業分野
12 漁業分野
13 飲食料品製造業分野
14 外食業分野

 

「特定技能」とは

原則的に、外国人が日本に在留する場合、「在留資格」もしくは「上陸許可」が必要となります。在留資格は入管法の別表1,2に列挙されていますが、そこには就労目的での在留を認める場合、ある程度の制限がかかります。

それでは、新設された「特定技能1号」「特定技能2号」の在留資格は、どのようなものなのでしょうか。

 

[特定技能1号]

特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動

 

[特定技能2号]

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

 
特定技能1号では、「相当程度の知識または経験を必要とする技能」とあり、特定技能2号では「熟練した技能」とあります。

特定技能1号の資格を得るためには「相当期間の実務経験を要し、特段の育成・訓練を受けることなくただちに一定程度の業務を遂行できる水準」の技能が必要です。そのほか、日本語能力水準などの基準も設けられており、試験にて確認が行われます。

また、1号と2号ではそれぞれ認められる条件も異なります。たとえば、特定技能1号の在留期間は、更新を含めて通算5年が上限とされていますが、特定技能2号では在留期間の更新が必要とされるのみで、在留期間の上限は設けられていません。条件を満たせば永住申請も可能となっています。そのうえ、家族の帯同に関しても、特定技能1号は基本的に不可ですが、特定技能2号は可能となっています。

1号2号いずれも、雇用形態はフルタイムとされており、直接雇用が原則となっています(ただし、一部派遣も認められています)。

なお、特定技能外国人を受け入れる側の企業は、特定技能雇用契約を結び、1号の場合は各種支援の策定計画などを作成しなければなりません。支援の内容としては、入国する前に情報の提供を行うことや、出入国する際の飛行場での外国人の送迎、賃貸借契約の保証人となることや住居確保の支援、預貯金口座の開設など、迎える側も多くの準備や手続きが必要となっています。

以上、今回の入管法の改正について概要をお話しさせていただきましたが、就労できる在留外国人への期待が高まる一方、さまざまな条件や必要な手続きなど煩雑なことも多く、雇用する側もされる側も少し二の足を踏んでしまうのも事実です。

深刻化する今後の人手不足への大きな希望となっている「特定技能」。しかし、慣れない申請や手続きなどでのトラブルも多く、いざ活用しようとしても不安に思う外国人の方や企業の経営者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

私ども弁護士法人アドバンスでは、グループ法人である行政書士法人と連携しながら、入管やVISAの申請手続から雇用に関する企業法務までワンストップでのリーガルサービスをご提供しております。
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