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相続登記が「義務化」へ

2020年1月8日 相続問題

私たちが自分の持ち物には名前を書き、誰のものかわかるようにしなければいけないのと同じように、相続により不動産を取得した際も、法務局で不動産登記の変更手続きを行わなければなりません。

 

最後まで忘れがちになる相続登記の変更

相続に関する法律相談をお受けすると、ご相談者様から「役所に死亡届を提出したので、全部やってもらえると思っていた」というお話を伺うことがままあります。各種の名義変更や銀行口座の解約、保険の手続きなどは比較的早めに行われますが、最後まで忘れがちになってしまうのが、相続登記の変更なのです。

実際に、2016年度に国土交通省が行った調査によると、相続により土地を取得したのに登記の変更手続きを行わず、土地の所有者が誰であるか不明となってしまった土地は、実に20%以上も存在することが明らかとなりました。

近年たびたび報道されている「空き家問題」のように、所有者不明で管理が行われていない建物や土地が増加し、大きな社会問題となっています。空き家については、2014年11月に空家等対策の推進に関する特別措置法(略称で「空き家対策特別措置法」と呼ばれることもあります)が成立し、市区町村などの地方自治体や意欲的な政党を中心に空き家対策への本格的な取り組みが始まっています。

 

民法および不動産登記関連の法制度の見直し

この流れを受け、土地についても、所有者不明な土地の増加を防ぐため、2018年3月から民法および不動産登記関連の法制度の見直しの議論が本格化し、2020年の実現を目指した法改正案の概要がまとまりました。主な変更箇所は以下の通りです。
 
①共有制度の見直し
複数の人物が不動産を所有している場合、その不動産を売却するときなどは所有者全員の同意を得なければなりません。そのため、所有者の一部と連絡が取れない場合は売却などを行うことができず、不動産が放置される原因となっていました。そこで改正案では、一定の要件を満たせば、全員の同意を得なくても売却などの手続きを行えることや、不動産に新たに管理者を設置する制度を設ける方針が検討されています。
 
②財産管理人制度の見直し
所有者が不明なときなど、本人の代わりに財産の管理を行う制度として、財産管理人制度という制度があります。しかし、現行の制度ですと、不明な人物ごとに財産管理人を選任しなければならないなど、コスト面などで非常に使いづらい制度となっていました。このような指摘を受け、同じ土地に複数の不明者がいる場合には一人のみの財産管理人の選任が認められるよう制度の見直しが検討されています。
 
③遺産分割の期限設定、不動産登記の義務化
遺言書がない相続や、遺言書または法定相続とは異なる内容で相続財産の分配を行いたい場合には、「遺産分割協議」という手続きを行わなければなりません。しかし、この手続きは、いつまでにしなければならないという期限の制限はありません。また、相続時に法務局で行う不動産登記の名義変更についても、期限の設定や罰則が設けられていません。

これらの期限の設定が設けられていないことが、所有者不明な土地が増加する大きな原因となっていると考えられたため、「遺産分割について期限を設定する」とか「相続に伴う不動産登記の名義変更については手続きを義務化する」などの対策が検討されています。
 
④隣地関係の見直し
所有者不明な土地の隣に土地を所有しており、その土地を活用するために電気や水道などのライフラインを設置したい場合、民法上これを保護する制度は存在せず、土地活用の大きな妨げとなっていました。そこで、改正案ではライフラインを設置するために隣地を活用できる制度の整備が検討されています。

また、管理が長期間行われていない土地では、木の枝が隣地に侵入し、隣地が迷惑を被ることがあります。民法上は、隣地の枝が境界線を越え自己の土地に侵入した場合でも、勝手に枝を切ることはできません。この隣地からの枝の伐採に関しても制度の見直しが議論されています。
 
⑤その他、不動産の放棄や不動産登記の簡略化
現行制度では、活用しない土地を手放すためには、相続時に相続財産をすべて手放す相続放棄の制度を用いるか、次の所有者となる人物を見つけ売買や贈与をするしかありません。そこで、改正案では一定の要件を満たせば土地だけを放棄し、最終的には国の所有とする制度を新たに設ける議論がなされています。
また、相続時の不動産登記手続きを促進するよう、上記③で説明した義務化だけでなく、手続きを簡略化するように議論されています。
 
上記で説明した方針はあくまで途中経過に過ぎず、必ずしもこれらの改正案がすべて実現化するとは限りません。また、自分はきちんと手続きを行っていたと思っていても、思いもよらないところで、不動産の管理義務が発生する可能性があります。たとえば、相続放棄を行ったとしても、代わりの管理者が見つかるまでは、相続放棄をした後でも相続財産を管理する義務を引き続き負わなければなりません(民法第940条1項)。

 

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