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自己破産はメリットだけでなくデメリットも多い!手続き後の影響とは?

手続き後の影響。自己破産はデメリットも多い

借金返済に苦慮している人の中には、自己破産の実行を検討している人もいるのではないでしょうか。

自己破産は債務整理方法の1つで、一部の負債を除きほぼすべての借金を帳消しにできる手続きです。

借金返済が難しい状況の人にとって、多くのメリットがあるのは間違いありません。

しかし、自己破産にはメリットだけではなく把握しておきたいデメリットも多いです。

自己破産を実行する際は、メリットと同時にデメリットの部分も十分理解する必要があります。

今回は、自己破産のメリットとデメリットについて解説します。

この記事でわかること
  • 自己破産はほぼすべての借金を帳消しにできるなどメリットが多い
  • 資産の没収や資格への制限などデメリットもある
  • 浪費が原因の場合など自己破産が認定されない場合もある
  • 自己破産後の制限はあるが普通の生活を送れる
  • 自己破産以外の債務整理の方法も検討するとよい

自己破産についての理解を十分に深め、借金への適切な対処方法を検討してみてください。

目次

自己破産はメリットが多い

借金の返済が免除。自己破産はメリットが多い

自己破産は、借金返済が不能となってしまった状況の人を救済する方法として、法的に認められた債務整理方法です。

借金の返済が免除されるのはもちろん、ほかにもいくつかの利点があります。

複数ある借金問題の解決方法のうち、自己破産を選択する利点について十分に理解しましょう。

自己破産実行により得られるメリットについて、主なものを以下に7点紹介します。

  • 一部を除きほぼすべての借金の支払いが免除される
  • 生活保護受給者や無職の人でも実行可能
  • 債権者からの督促や取立てを止められる
  • 給与の差押えを含めた強制執行を止められる
  • 生活に必要な財産や自己破産後に得た財産は没収されない
  • 自己破産が原因で解雇されない
  • 戸籍上に記録されるものではない

以下で順を追って説明をするためご自身の状況に適合している方法であるか十分に検討しましょう。

一部を除きほぼすべての借金の支払いが免除される

どれだけ高額の借金を負っていたとしても、自己破産を申し立てて裁判所に受理されれば、支払の免除が受けられます。

しかし、すべての支払義務が無くなるわけではなく、以下のような債務は支払いを免れません。

  • 税金や健康保険料などの公租公課
  • 損害賠償に関連する債務
  • 子どもの養育費など

抱えていた借金のほとんどを支払わなくて済むのは、自己破産の最大の利点であり実行する主要な意義といえます。

返済できないほどの借金を負ってしまった場合は、自己破産で支払義務の免除を受ける方法を検討するとよいでしょう。

生活保護受給者や無職の人でも実行可能

自己破産は、生活保護を受給している人や無職の人でも実行可能です。

生活保護受給者は、資産価値の高いものを所有できないなどの制限はありますが、借金を禁じられているわけではありません。

無職の人も、借入審査の通過は厳しいものの、借金自体は可能です。

生活保護受給者や無職の人が負った借金を返せない場合は、自己破産の申立てができます。

しかし、自己破産の申立てが受理されるためには裁判所の認定を受ける必要があります。

生活保護受給者や無職の人が負う借金に対して、自己破産を実行する正当性が認められるか、判断が難しいところです。

裁判所の認定が得られるか、弁護士など専門家に事前に確認するのがよいでしょう。

債権者からの督促や取立てを止められる

自己破産を実行する際に弁護士など専門家に依頼すると、債権者からの督促や取立てを止められます。

最初に弁護士など専門家からに自己破産の手続きを依頼すると、債権者に対して、専門家の名義で受任通知が発行されます。。

受任通知とは、債務者の借金について、代理で債務整理を実行する旨を各債権者に知らせる通知です。

受任通知が発行されると、債権者は債務者への直接の督促や取立てを法的に禁止されます。

執拗な取立てを受けて苦しい状況の場合は、自己破産の実行により精神的に楽な状態を確保できるはずです。

債権者からの督促や取立てを止めて、生活上の安定を得られるのは、自己破産実行の大きな利点といえるでしょう。

給与の差押えを含めた強制執行を止められる

差し押さえを受ける資産。強制執行を止められる

自己破産の申立てを行うと、給与の差押えなどの強制執行を止めることが可能です。

債務者が借金の返済を延滞していると、債権者は裁判所に対して申立てを行い債務者の財産の差押えを行います。

差押えを受ける資産には、次のようなものが該当します。

  • 現金および預貯金
  • 不動産
  • 貴金属や有価証券など価値のある動産
  • 将来受け取る予定の給与

差押えを含めた強制執行を受ける前に自己破産の申立てを実行すると、差押えを回避できます。

借金の返済ができず滞納の状態が継続している場合は、強制執行の措置を受ける恐れがあります。

自己破産は、強制執行を回避する手段としても重要な意味を持つといえるでしょう。

生活に必要な財産や自己破産後に得た財産は没収されない

自己破産を実行すると多くの資産を没収されますが、生活に必要な最低限の財産および自己破産後に得た財産は手元に残ります。

自己破産は債務者の経済的な再起を目的としているため、自己破産後に生活を送れなければ意味がありません。

自己破産後に手元に残るものを自由財産と呼び、以下のようなものが該当します。

  • 99万円以下の現金
  • 破産後に取得した財産
  • 生活に必要な家具や寝具など法律で差押えが禁止されている財産
  • 「自由財産の拡張」が認められた財産
  • 破産管財人によって「破産財団」から放棄された財産

自由財産の拡張が認められる財産は、預貯金や保険解約金などの資産のうち20万円以下の部分が該当します。

「破産財団」は、破産者から没収した財産の集合体を指し、売却など処分をして債権者への配当の原資となるものです。

処分に多額の費用がかかったり、買い手が付かないほど特異であったりする財産は、破産財団から放棄され、自由財産として債務者の手元に残ります。

自己破産が原因で解雇されない

自己破産を原因とした、勤務先からの解雇処分は禁止されています。

会社が被雇用者を解雇する際には、正当な理由が必要です。

自己破産は解雇の条件に含まれないため、勤務先での雇用を継続できます。

自己破産を行ったとしても、会社内でバレる可能性はあまりありません。

しかし、会社にお金を借りている場合には、自己破産は必ずバレると思っておきましょう。

自己破産を実行すると、すべての債権者に対して裁判所から破産手続開始決定が送付されます。

書面には申立人の氏名などが明記されているため、破産手続きが社内で発覚するのは避けられません。

自己破産の事実が発覚しても解雇の原因にはなりませんが、周囲の目が気になるなど手続き以前と同様に勤務できない状況は十分に考えられます。

戸籍上に記録されるものではない

自己破産の事実は、戸籍上に記録されるものではありません。

そのため、結婚をする際に過去の自己破産の事実を相手に黙ったままで過ごすのも不可能ではないでしょう。

本籍地の市区町村役場においては破産者名簿への登録がなされますが、一般公開される資料ではありません。

自己破産の認定を受け、借金の免責を受ければ破産者名簿の記録は抹消されるため、影響はほとんどないといえます。

戸籍謄本や住民票を提出する各種手続きの際も、自己破産の事実が発覚する恐れは少ないと考えられます。

選挙権についても、自己破産を実行したとしても喪失するものではありません。

自己破産により生活上の制限を多く受けると考えている人は多いですが、実際には手続き前と同じように生活できます。

自己破産には注意を要するデメリットもある

制限や周囲への影響。注意を要するデメリットもある

自己破産には多くのメリットがあると紹介しましたが、同時に注意したいデメリットもあります。

自己破産は返済できない借金への対応方法として優れていますが、実行にはさまざまな制限や周囲への影響を伴います。

自己破産の実行を検討する場合は、利点の部分と同時に欠点や生活への悪影響について十分理解し総合的な視点で判断するとよいでしょう。

自己破産によって発生するデメリットについて、主なものを以下に6項目紹介します。

  • 持ち家や自家用車などの価値の高い財産を没収される
  • 信用情報機関に事故情報が登録される
  • 官報に住所と氏名が公開される
  • 保証人および連帯保証人に迷惑がかかる
  • 手続き中は一部の職業や資格が制限を受ける
  • 手続き中に引っ越しや海外への渡航などに制限を受ける場合もある

以下でそれぞれの説明をしていきます。参考にしてください。

持ち家や自家用車などの価値の高い財産を没収される

自己破産を実行すると、生活上必要な最低限の資産以外は没収されます。

前述したように、自由財産と認められた資産は生活に必要であると判断され、処分されません。

一方、自由財産以外の資産は債権者への配当原資とするために没収を受けてしまいます。

自己破産により処分を受ける資産には、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 不動産
  • 処分額が20万円以上の自動車や貴金属および宝飾品
  • 99万円を超える現金のうち99万円を超えた部分
  • 20万円を超える価値の債権(預貯金や保険解約金など)

支払いが済んでいても、持ち家は退去を余儀なくされたり、自家用車を使えなくなったりするため、自己破産手続き以前の生活を継続するのは難しくなる場合が多くなるでしょう。

信用情報機関に事故情報が登録される

自己破産を実行すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。

信用情報機関は、各種ローンやクレジットカードの契約および利用状況などを管理する機関です。

自己破産などの債務整理の事実は、信用情報機関において事故情報として登録されます。

クレジットカード会社や各種金融機関および貸金業者は信用情報機関が持つ情報を照会する権利を持っています。

申込者に事故情報の登録がある場合、手続き中の審査への通過はほぼ不可能です。

事故情報が登録されると、金融サービス上で以下のような制限を受けます。

  • クレジットカードの新規発行ができず既存カードの利用も停止される場合が多い
  • 各種ローンなどによる新規借入ができない
  • スマートフォンの分割払いの審査に通らない

信用情報機関への事故情報登録は、自己破産実行時には避けられません。

官報に住所と氏名が公開される

自己破産を実行すると、官報に住所や氏名が掲載され、自己破産の事実が公開されます。

官報とは、国が発行する機関紙のことです。

官報には、法律や政令の制定および改定の情報や裁判所が実施した裁判内容などが掲載されます。

自己破産も官報に掲載される要素であり、住所や氏名および手続き開始と免責決定の時期が公開される決まりです。

自己破産の実行について官報で公開されることは避けられませんが、官報自体は一般人が見る機会が少ないため、周囲の人にバレる可能性はあまりありません。

しかし、金融機関の職員や不動産業者など業務上で官報を閲覧している人もいるため、バレることはあります。

自己破産の事実が戸籍などに記録されないのは前述のとおりですが、官報への掲載により公開される点は理解しておきましょう。

保証人および連帯保証人に迷惑がかかる

自己破産を実行すると、ご自身の借金に対する保証人や連帯保証人に迷惑がかかります。

保証人や連帯保証人は、債務者が返済できない借金を代わりに返済する義務を負っているため、債権者からの取立てを受けてしまいます。

保証人などに取立てが実行される際は、借金全額を一括で返済するよう督促されるのが一般的です。

自己破産の実行により期限の利益を喪失するため、一括返済を拒む権利がありません。

期限の利益とは、約束の期限までに分割で借金返済ができるという債務者の権利のことです。

期限の利益を損なうと一括での返済を余儀なくされるため、保証人および連帯保証人にかかる負担は大きくなってしまいます。

場合によっては保証人も返済不能に陥り、債務整理をせざるを得なくなるかもしれません。

自己破産を実行する際は、保証人や連帯保証人についても確認しておく方がよいでしょう。

手続き中は一部の職業や資格が制限を受ける

自己破産の手続き中は、一部の職業や資格に制限を受けてしまいます。

制限を受けるのは、以下のような職業や資格が該当します。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 警備員
  • 宅地建物取引士
  • 旅行業者
  • 証券会社外務員
  • 不動産鑑定士
  • 土地家屋調査士
  • 生命保険募集人 など

自己破産の手続きが開始されてから免責が許可され手続きを終えるまでの期間に限り、資格を喪失し仕事への従事ができません。

しかし、自己破産の手続きを終えると資格が元に戻るため、再び同じ仕事に従事できます。

周囲に黙って自己破産の手続きをしている場合には、一時的に仕事ができない状況を不審に思われ、自己破産の事実がバレてしまう可能性があります。

手続き中に引っ越しや海外への渡航などに制限を受ける場合もある

自己破産の手続き中においては、引っ越しや海外への渡航に制限を受ける場合があります。

適用された自己破産の種類によっては、引っ越しや海外渡航を自由にできません。

自己破産には、以下の3種類があります。

  • 同時廃止事件:免責不許可事由の疑いがない場合に適用される
  • 管財事件:清算可能な財産を持っている、あるいは免責不許可事由に該当する可能性が疑われる場合に適用される
  • 少額管財:管財事件に該当する場合で、弁護士が申立人の代理人になっている場合に適用される

管財事件および少額事件に該当する場合には、破産管財人が申立人の財産や借金の経緯について調査を行います。

破産管財人は裁判所の指示により、申立人についての調査を行うため、常に連絡を取れる状態を維持する必要があります。

そのため、引っ越しや海外渡航をする際は裁判所の許可を得ないといけません。

管財事件および少額事件に該当する場合、自由な行動が制限される点を知っておきましょう。

自己破産で支払義務が完全に無くなるわけではない

一部の負債内容、支払い義務は完全になくならない

自己破産を実行して裁判所の認定を得ると、負債のすべての支払義務が無くなると思っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、自己破産を実行しても一部の負債内容の支払義務は残ります。

自己破産を申し立てたとしても必ず認定される保証はないため、場合によっては借金の免責が受けられないかもしれません。

自己破産を実行しても支払義務が残る理由として、主なものを以下に5例紹介します。

  • 自力で借金を返せる場合は申立てが却下される
  • 浪費や投資の失敗による借金は免責不許可事由に該当する
  • 個人間の借金は貸金業者の借金と性質が異なる
  • 一部の債務は免責されない
  • 裁判所費用と弁護士費用の負担は避けられない

自己破産を実行する前に、引き続き支払義務を負う内容について理解しておくとよいでしょう。

自力で借金を返せる場合は申立てが却下される

申立人が、自力で借金を返せる経済力を持っていると判断された場合、申立てが却下される場合があります。

自己破産が認定されるのは、支払不能な状態である点が要件の1つです。

裁判所は、破産管財人に命じて自己破産申立人の財産状況や収入などの情報を調査し、総合的かつ客観的な判断をしていきます。

例えば、申立人が無職で収入が無かったとしても、一定の資産を持っている場合には申立てを却下することがあります。

自己破産は、貸し付けたお金が返ってこなくなる手続きであるため、債権者にとっては大きな損失につながりかねません。

裁判所は、債務者と債権者の両方の事情を公平に判断して借金の免責を決定します。

そのため、慎重に判断するのも納得できるでしょう。

どうしても借金を返済できないと明らかにできない場合は、申立てが却下される可能性があります。

浪費や投資の失敗による借金は免責不許可事由に該当する

浪費や投資の失敗が原因による借金は、免責不許可事由に該当していると判断され、裁判所で否認されるケースが多々あります。

免責不許可事由とは、自己破産の申立てにおいて借金の免責が受けられないことです。

ギャンブルを重ねた末の借金や、無理な投資をした結果の借金の場合は、免責不許可事由に該当します。

しかし、反省の意思を示したり止むにやまれぬ状況であった経緯を示したりすることで、裁判所の判断により免責を受けられる場合もあります。

免責不許可事由に該当するかどうかの判断は難しいため、弁護士など専門家に相談するとよいでしょう。

個人間の借金は貸金業者の借金と性質が異なる

個人同士でのお金の貸し借りは、貸金業者からの借金とは性質が異なるため、対処方法に配慮する必要があります。

自己破産の実行は、債権者にとっては借金を返さないと宣言されたようなものです。

親交のある個人から借りたお金も債務整理の対象となるため、お金を貸した側は裏切られたと思うかもしれません。

人間関係に支障を来してしまう可能性があるため、個人間の借金がある場合、借りている相手との関係性を考慮するのは大切です。

しかし、人間関係を維持したいがために、個人間の借金を優先的に返済する行為は、自己破産の手続きをする場合にはおすすめできません。

自己破産を実行する前に、個人の相手に優先的に借金返済をする行為は、申立後の調査を受けて免責不許可事由と認定されてしまう可能性があるからです。

自己破産実行を検討する時は、個人間の借金について精査し、適切に対処する必要があります。

一部の債務は免責されない

自己破産を行い免責の認定を受けたとしても、一部の債務については免責されません。

自己破産をしても支払義務が残る債務を、非免責債権と呼びます。

非免責債権には、以下のようなものが該当します。

  • 所得税などの税金
  • 国民健康保険料や介護保険料
  • 子どもの養育費
  • 損害賠償金や慰謝料
  • 雇用している従業員に対する給料

自己破産を実行し、免責が認定されると、すべての借金が無くなると誤解している人もいるかもしれませんが、実際には支払義務が完全に無くなるわけではありません。

自己破産の実行前に、免責を受けた後にどれほどの支払義務が残るのか、弁護士などに相談して把握しておくとよいでしょう。

裁判所費用と弁護士費用の負担は避けられない

自己破産の実行には、裁判所と弁護士に対して費用を支払う必要があります。

借金については免責を受けられたとしても、自己破産の手続き自体にかかった費用は免除されません。

裁判所および弁護士に支払う金額は、自己破産の種類や依頼する弁護士によって違いがあります。

同時廃止事件の場合が最も低く、30~50万円程度です。

一方、管財事件の場合には総額で80~130万円程度の費用がかかる場合もあります。

裁判所に対する費用は一括の支払いが求められますが、弁護士への費用については分割の支払いを認めてくれる場合が多いです。

自己破産を実行する状況で、裁判所や弁護士に支払う費用負担は大きい場合がほとんどであるため、依頼する弁護士に相談しましょう。

自己破産後の生活への影響を事前に知っておこう

誤解されがち。自己破産後の生活への影響

自己破産を実行した後の生活について、どれほどの影響があるのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。

自己破産の履歴が生活上に与える影響はもちろんあるものの、生活そのものが送れなくなるものではありません。

自己破産をすると一般的な生活ができなくなると誤解されがちですが、実際は生活への影響は限定的です。

自己破産後の生活への影響について、主なものを以下に5項目紹介します。

  • 家族への影響は限定的
  • 信用情報機関の事故記録は5~7年程度で消える
  • 自己破産後の収入は没収されない
  • 自己破産しても不動産賃貸契約は可能
  • 自己破産後に再度の借金に注意

自己破産を実行する前に、生活に与える影響についての正しい認識を持っておきましょう。

家族への影響は限定的

自己破産を実行しても、配偶者や子どもなど家族に与える影響は限定的です。

配偶者はクレジットカードや各種ローンの利用が可能で、子どもは学校や就職先選択において制限を受けません。

したがって、自己破産をした本人の家族がクレジットカードの契約を行い、家族カードを発行して利用できます。

影響がある可能性がある点として、自己破産実行者は第三者の保証人になる権利がありません。

例えば、子どもが大学進学時に奨学金を申し込む場合、自己破産をした親は自分の子供の保証人になれません。

もう一方の親が保証人になったり、保証サービス活用の検討をしたりしましょう。

自己破産による直接的な家族への影響はありませんが、保証人などの問題で一部影響する点は押さえておきましょう。

信用情報機関の事故記録は5~7年程度で消える

自己破産のデメリットとして、信用情報機関に事故情報が登録される点を紹介しました。

事故情報が登録されると、クレジットカードや新規のローン契約などができなくなるなど、生活面に多大な影響が及んでしまいます。

しかし、事故情報は永久に登録されているわけではありません。

債務整理の内容にもよりますが、5~7年程度で消滅するのが一般的です。

事故記録の消滅後は従前どおりの状態に戻り、審査に通れば自由にクレジットカードや各種ローンが利用できるようになります。

自己破産実行後は、借金に頼らずに堅実に生活をして、事故情報が消滅してからクレジットカードなどの金融サービスが利用できるようにするとよいでしょう。

自己破産後の収入は没収されない

自己破産をするとすべての資産を没収されてしまうと考えられがちです。

しかし、自己破産実行後に獲得する収入は、没収されません。

裁判所が破産手続開始の決定を行った時点の資産が、清算の対象となるためです。

そのため、自己破産の手続き後に働いて得た給料などは、清算の対象になりません。

自己破産の手続きが完了した時点で、返済が必要となる借金は一部のものを除きゼロとなります。

それと同時に生活に必要最低限の資産も無くなり、ゼロからの再出発といえるでしょう。

手続き後に獲得した収入や資産は、さかのぼって借金清算に利用されるものではなく、将来の生活再構築のために活用できます。

自己破産しても不動産賃貸契約は可能

自己破産すると家を借りられなくなるとの誤解をしている人もいますが、問題なく賃貸住宅の契約を実行できます。

しかし、保証会社との契約が必要な賃貸物件の場合、住まいを借りるのは難しいでしょう。

自己破産により信用情報機関に事故情報が記録されると、保証会社側の審査に通過しなくなってしまいます。

したがって、自己破産後に家を借りたい場合は、保証会社の契約が不要な物件を選択することをおすすめします。

自己破産後に再度の借金に注意

自己破産を実行した後に再度借金をするのは、避ける必要があります。

事故情報が登録されている状態で借金ができる相手といえば、違法業者のみです。

脅迫めいた取立てを受けたり、悪質な嫌がらせを受ける原因になってしまいます。

再び返済できないほどの借金を背負ってしまう可能性もあります。

自己破産は、連続で実行できる手続きではありません。

免責を受けてから7年間は、再度の免責の認定は受けられない可能性が高いでしょう。

軽い気持ちで借金をして、再び返済できないほどの負債を負ってしまわないように自分を律する心構えが大切です。

自己破産以外の債務整理方法も検討しよう

それぞれに特徴がある。自己破産以外の債務整理方法

ここまで、自己破産についてメリットやデメリットを中心に紹介をしました。

自己破産は債務整理方法の1つですが、他にも借金への対応に利用できる債務整理の方法はあります。

それぞれに特徴があるため、どの実行方法がご自身に適しているか、十分に検討して選択するのが重要です。

自己破産以外の債務整理のうち、代表的な方法を以下に3つ紹介します。

  • 裁判所が債権者との仲介をしてくれる特定調停
  • 債権者と直接交渉をする任意整理
  • 借金を減らしながら資産を残せる個人再生

借金への適切な対応方法を検討する際に、参考にしてみてください。

裁判所が債権者との仲介をしてくれる特定調停

特定調停とは、裁判所が債権者との仲介の立場になり、返済条件の見直しを進める手続きです。

比較的簡易な手続きであり、短時間で交渉を終えられる場合もあります。

しかし、特定調停の対応の内容が裁判所によって差があり、場合によっては十分な交渉展開ができない場合もあります。

債権者の中には特定調停に非協力的な場合もあり、交渉を十分に行えない可能性もあるのが欠点です。

特定調停は、任意整理と同様借金そのものを減額する手続きではないため、将来的に安定収入が見込めるなど、返済の目途が立っている人のみが選択できます。

債権者と直接交渉をする任意整理

任意整理は、債権者と直接交渉をして返済条件の緩和や将来発生する利息の免除を求める手続きです。

裁判所を介した手続きではないため、比較的簡易に進められて短期間で終えられる場合もあります。

自己破産や個人再生がすべての債権者からの借金が清算の対象となるのに対し、任意整理の場合は交渉する債権者を選択できます。

近親者が保証人になっている借金があり、迷惑をかけたくない場合に適した債務整理の方法といえるでしょう。

任意整理では、借金の元本そのものの減額を得られないため、返済できるほどの安定収入が見込める場合にのみ選択可能です。

借金を減らしながら資産を残せる個人再生

個人再生は、裁判所に申立てをして借金の減額を求める手続きです。

個人再生の申立てが裁判所に認められると、借金が5分の1あるいは10分の1になります。

残った借金は、3~5年で返済しなければなりません。

自己破産の場合には、不動産や自家用車など、一定以上の価値のある資産はすべて没収されてしまいます。

一方、個人再生の場合はローンのない自家用車は手放す必要がありません。

持ち家も、住宅ローン特則を活用して手放さずに済むケースがあります。

大幅に借金を減らしながら資産を手元に残せる点が個人再生の特徴といえるでしょう。

自己破産のメリットとデメリットを考慮して実行の可否を決めよう

自己破産は、ほぼすべての借金を帳消しにできるなど、メリットの大きな手続きです。

自己破産について、手続き後は一般的な生活が送れなくなると考える人がいるかもしれません。

生活への影響はもちろんありますが、家族への影響は限定的であったり、賃貸物件を借りるのは可能であったりと、通常の生活を送るのは十分に可能です。

しかし、メリットと同時にデメリットも存在します。

持ち家や自家用車など価値の高い資産は没収され、クレジットカードや各種ローンが利用できなくなります。

税金や損害賠償金など、一部の負債は返済義務が残るため、完全に負債から逃れられるわけではありません。

自己破産以外の債務整理の方法も検討しながら、借金返済に苦慮する状況から効果的に脱出しましょう。

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